無痛治療

無痛の器材 最近痛くない治療としてレーザー治療がテレビ等で紹介されている。
それは本当だろうか?またレーザーは万能の治療法なのだろうか?
はっきり言えば、レーザーも痛いのだ。我慢できる程度の痛さを伴う治療なのだ。
しかし逆に麻酔の注射もせずに我慢できる程度の痛みで虫歯の治療ができるとも言えるが。

でも、ちょっと待ってください。
麻酔の注射って痛いものですか?
痛いよ!って言っている人の為にこのページを書こうと思います。

痛くなく麻酔をする為に行う事 以上の事を注意深く行えば、麻酔なんて蚊に刺されたほどしか感じなくなるのです。
麻酔が無痛で行えれば治療も無痛になるはずです。ただし、ここで問題になるのは
それだけ、じっくり麻酔に時間をかける余裕が保険医にはないということです。
わたしが自費オンリーの高級治療しかしない身分なら当然これぐらいの配慮をする
でしょうが現状では完全には無痛麻酔を実行してはいません。でも美人には...

表面麻酔をする

表面麻酔まず、粘膜を乾燥させてゲル状の表面麻酔を綿棒などでこれから刺入する部位に塗る。

ここで2分ほど待つと粘膜表面の感覚がマヒしてくる。

そうしたら表面麻酔をぬぐって、すかさず注射針をゆっくり刺し込むのです。

表面麻酔にはゲル状のもののほかに張り付けるタイプのものやスプレーのものもあります。そのどれを使っても効果は大差がないと思います。表面麻酔は保険点数に含まれていません。つまり表面麻酔をしてくれる歯医者さんは自腹をきって患者さんに無痛のサービスをしてくれているのです。こうしたサービスに対して厚生省は予算の不足などを理由に点数カットしてしまうのです。やってもやらなくても収入は同じ処置、これこそ医は仁術を体現する処置ではありませんか。表面麻酔をしてくれる歯医者さんを悪く言っては罰があたりますぞ。

寒冷麻酔を場合によっては併用する

ここに打つ みなさんは氷で指の感覚がマヒした事がありますか?
そうです、冷やす事で麻酔の補助することができるのです。

時々ですがわたしは表面麻酔をした場所に寒冷スプレーで冷やしたスポンジを置いてさらに表面麻酔効果を高めて刺入する事があります。
確かに痛みはさらに減少します。でも欠点があります。軽い凍傷を起こしてしまう事があるのです。

粘膜は熱さや冷たさに鈍感でまた強い性質がありますので仮にそんな事があっても自覚できる程にはならないですが

針を刺す前に行う細かな配慮

痛点の分布最初に針を刺す場所ですが歯ぐき(硬い部分)と粘膜(柔らかい部分)では粘膜の方が痛みを感じる部分(痛点)が少ないので最初の刺入部位は粘膜の方を選びます。右図中1

表面麻酔をして殆ど無痛になっているのですが更に痛みの出にくい場所を選びます。この時、血管を刺さないように注意します。血管には神経が近接してあるのでもし血管を刺すと痛みがあるばかりでなく注射液が血管にもれて効果がうすれてしまうからです。右図中の1に打った麻酔がじわじわ浸透して23に効果が及んだ事を確認したら3に二度目の刺入をします。なぜ3に打つかというと3の部位は骨小孔という穴が骨に多くあいているので麻酔液が骨の中に浸透しやすいのです。そう、歯科で行う麻酔は骨に効かさなくてはいけないので医科で使用するものより麻酔効果が高くなるようにエピネフリンを8万分の1の濃度で含有しています。

この際に刺す場所以外の場所(例えば唇など)を強くつかむと注意がそちらにそれて痛み
を感じにくくさせることができます。

細い針を使います

注射針にもいろいろ種類があります。多くの歯科医は25ゲージの針を使って麻酔をして
いると思いますが現在は30ゲージ、さらに31ゲージという細い針が発売されています。
痛点を避けるという観点からいって細い針であればあるほど痛みは感じにくくなるはず
です。

針にはシリコンオイルが塗ってあり滑りを良くして刺入時の痛みを抑える働きを
しています。最近シリコンの有害性が取りざたされてシリコンオイルを塗らないように
する動きがありましたがシリコンを塗らないと痛みが数倍になると言われ私は針に塗る
程度の極少量のシリコンの有害性を云々するのは間違いだと思っています。
どうも塗らない様になる事は今のところ無くなったようですが、重箱の隅をつつく様な
発がん物質バッシングは無益だと思います。

少しでも痛くない様に注射液を体温に温める

一番うえの写真に写っているカプリという装置を使って注射液を体温と同程度に温め
ておきます。夏場はそうでもないでしょうが特に冬は注射液の温度も下がってきます。
すると注射液と体温の温度差で痛みが起こる事があります。この装置は大きな効果は
ないかとも思いますが少しでも患者さんが痛くないようにという歯科医の心意気だけ
は買っていただきたいと思います。草履を温めた羽柴秀吉の心意気でしょうか。
歯医者は別に出世はいたしませんが...

ゆっくり時間をかけて注入する

ゆっくりと注射液を注入する。かなり強い圧をかけなくては骨膜の下に麻酔液を
いれる事はできません。その強圧を一気にかけてしまうとそれだけで痛みが起こります
なるべくゆっくり少しづつ注入します。ここでも歯医者の尻に急げと鞭を打つのは
低い保険点数です。ゆっくり治療をしてられない保険医のジレンマがここにあります。

それでも恐怖感がある人には笑気ガス

実際これまでの過程を踏んで麻酔をすれば痛いことはないと思いますが、痛みを強く
感じさせる要因に恐怖があります。どこで植え付けられたのか知りませんがいわれの
無い恐怖を歯科治療に対して持っている大勢の人がいます。これらの人は痛くなくても
痛いと感じてしまいます。どうしても恐い人は一度笑気ガス吸入鎮静法を試しては
いかがでしょうか。笑気ガスは脳の海馬領域に効果を及ぼすと言われ恐怖感を無くす
働きがあります。しあわせな気分になるとも言われています。(なんだか麻薬みたいで
怪しい雰囲気ですか???)危険な事は実際にはほとんど無くて意外と簡単にできる
ものです。また、痛みを少なくする鎮痛効果もあると言われています。
笑気ガスについては言い尽くせないぐらい内容がありますので
これぐらいの紹介にとどめておきます。

その他にも痛みを軽減する様々な方法がある

まず、単に歯医者は歯を削っているわけではありません。ここでも痛くなく削る配慮
があります。Bodeckerの除痛法と言われる削り方があるのです。
Bodeckerの除痛法右の図を見てください。
ここでちょっと難しい話しになってしまいますがそれを避けると全く説明ができないのでしょうがなく説明します。

歯がエナメル質象牙質セメント質と歯髄で構成されているのは知っているかと思います。象牙質の中には象牙芽細胞という象牙質をつくる細胞の突起がつらぬいています。この突起の回りには象牙細管という歯液というリンパ液に似た物質が入っている構造があります。象牙質には神経が無いのに象牙質を削ると痛みを感じるのは、象牙芽細胞の突起が傷害されその変型が振動のような形で象牙芽細胞全体に伝わり、ひいては象牙芽細胞に隣接する歯髄の神経に伝わり痛みを感じると言われています。

また象牙細管の中の歯液が熱いもの冷たいもので引かれたり押されたりすることで歯髄の神経に伝わるというハイドロダイナミックセオリーというものも言われています。

正確にはわたしは象牙芽細胞ではないのでわかりませんがどうもそんなような事で痛みを起こすようです。

上の図のなかで縦に引かれている線が象牙芽細胞の突起であり、象牙細管だと思って
ください。より神経に近い所で象牙細管を切断するとその上部の象牙質は痛みを
感じなくなります。つまり一度の切削で多くの歯質を削る際の痛みを無くす事ができる
わけです。痛みを感じなくなった上部の象牙質を青で示してあります。
まだ痛みを感じる部位を赤で示してあります。
もし上から順に少しずつ切削していくと切削の度に痛みを感じるわけで
Bodeckerの除痛法は痛みの節約法だといえます。

また、切削時に起こる発熱が痛みを起こします。少しでも痛みを減らす為に
歯科医はなるべく軽い力で歯を削ります。軽い力で水をいっぱいかける事で
切削時の熱を減らすようにします。わたしの歯科医院では最大限に水を出して
切削するため患者さんの口から時々水があふれてしまいます。
一分間に50ml以上の水がタービンから出ないと冷却は不十分です。
一分間に50mlというのは意外に出ていない事が多いのです。わたしのところでは
めいっぱいの水量でやっとクリアできるのです。水が少なくていい具合だった
患者さん、気をつけたほうが良かったりして...

もうひとつ特殊な装置を使って行う電気麻酔というものがありますが
はっきり言って実用されているものをわたしは見たことがありません。
理屈的には可能な感じがしますけど...

実用化されているもので有効だなと思うものにモリタという会社でだしている
エイクルス
というものがあります。切削効率を高めることで痛みが軽減する
ようです。

こんな風に単純に削っているだけと思われる歯科医も考えながら
治療しているのです。
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